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水無月、枇杷のおかし
六月です。

しばらく前、つる状に伸ばした枝に白い花をみかけた場所があり
バラ科?キイチゴ?と、ひそかに楽しみにしていました。
人気のない茂みです。
買出し途中にそういえばと立ち寄って見たら、
木苺というよりも、藪イチゴとでも呼びたくなるような様子の実をつけていました。
ふいに、子供のころ通っていたお習字の先生のところを思い出しました。

背の高い木が全体に陰を落としてすこし薄暗い、シンとした奥に立つアパート。
入り口庭の右側には、子供のわたしの知らない山野草のようなものが生えていて
左側には、びっくりするほど濃く不思議な紫色を魅せるアジサイの花、
そして、アジサイの奥に、木苺の茂みがあった。
蒸し暑い季節になると黄色い実をたくさんつける木苺は、
わたしがはじめて口にした木苺でした。
今思えば、なんとなく不思議な雰囲気のする場所だった。

先生は春葉という名だったから、春生まれの方だったのだろうか。
同じ葉という字が名前にあったからか(わたしは秋の葉だけれど)よくして下さって、
一度、書道の大きな展覧会があると、上野までわたしひとりだけ
連れていってもらったことがありました。
寒い季節にはいつもお稽古のあと、みんなにココアをいれてくれた。
(実は、、、先に通っていた近所の男の子がいたく得意げに
その美味しいココアのことを何度も何度もわたしに話して聞かせ、
わたしはココア話にのせられ通い始めた・・・というのがほんとうのところ。)
先生は、わたしの祖父母よりはすこしお若いくらいだったらしく、
静かで穏やかだけれど、しなやかな筆の感じだった、記憶。
(わたしの子供のころの記憶は、とてもおぼろげなのです。)
けれど、先生が缶を開けてココアの粉を牛乳に入れている様子や、
鍋のかかったガス火の音、ストーブの火と墨の匂い(こっちが本来、なのですが!)、
あまいココアの香りと紫陽花の濃い色が混ざったような、
季節の交錯した記憶が、木苺の茂みと同時に、トンっと甦りました。

数年通い、高校受験だかなんとかという理由で辞めさせられたのだけれど
大人になって随分あとで、先生はどうやらわたしをお弟子さんにしたかった
というような話を親に聞かされた。
もしかしたら泡だて器が筆に変わっていたかも知れないお話??でしたが、
それでもよかったのにな~、と思ったりしました。
とうの昔にそのアパートの場所はきれいな住宅地となり、
木苺や紫陽花ももちろん、なくなってしまいました。
、、先生はお元気でいらっしゃるかしら。
(もうちょっときちんと書道を習っておけばよかったです・・・。)
お会いできたら、わたしの作ったお菓子を食べてもらいたいな、などと想いました。


さてさて、今日は枇杷を煮ました*
今年はどんな組み合わせにできるかしら??楽しみです。
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by trespetits | 2010-06-08 19:47